人の行動原理
やる気の出し方を理解する上で、まずは人の行動原理について解説します。人が行動するきっかけとなるのが行動原理であり、やる気を出すことに密接に関係しています。
人の行動原理は非常にシンプルで、大きく分けて2つしかありません。
まず1つめが、「痛みを避ける」ということです。具体的な行動は、以下のようなものです。
- エアコンを入れる→ 暑い or 寒い状態から逃れたい
- 愛想笑いをする→ 人間関係を悪化させたくない
- 歯磨きをする→ ムシ歯になりたくない、歯医者での手術が嫌
人間は、苦痛や不快な状態から逃れること、また、そうならないために事前にリスク回避するような行動をとります。誰だって痛いのは嫌ですからね(^^;)
次に、行動原理として「快楽を得る」というのもあります。具体的には以下のようなものです。
- お腹が空くとご飯を食べる→ 食欲が満たされる
- 友人や家族と出かける→ 大切な人たちと共に過ごすことで幸福感を得られる
- 異性をデートに誘う→ 恋人になれるかも知れないと期待する
人間は、幸福感や快楽を得ること、また、それらが得られると期待される行動をとります。
人間はコスパ重視で行動する
「痛みを避けて快楽を得る」ーー人間の行動原理は非常にシンプルですね。
ですが、世の中はそんなにシンプルではなく、ノーリスクで痛みを避けて快楽を得ることはできません。具体例は以下のようなものです。
つまり、痛みを避けて快楽を得るためにリスクを冒すこともあるのです。
長時間並んでまでラーメンを食べることが理解できない人もいるでしょうし、本当に注射嫌いな人は予防接種を受けないと思います。
リスクを冒してまで行動するかどうかは人それぞれです。ですが、その根底にある心理は共通しており、「その行動が割に合うかどうか」ということです。
要は、本能的に「コスパがいいかどうか」を判断して行動しているのです。
コスパが悪いと判断しているからやる気が出ない
人が行動するのは、「コスパがいい」と判断した場合です。その判断は無意識にされることも多いです。
仕事などでやる気が出ないのは、無意識に脳が「コスパが悪い」と判断しているからだと考えます。つまり、「コスパがいい=割に合う」と脳に判断させることができれば、やる気を出すことができるのです。
やる気が出るきっかけは人それぞれ
残念ながら脳にコスパがいいと判断させてやる気を出す絶対的な方法はありません。コスパの良し悪しの基準は人によって違うので、やる気の出し方も人それぞれになってくるわけです。
とはいえ、人の行動原理はシンプルで、「痛みを避けて快楽を得ること」です。やる気の出し方のヒントは、自分が「痛みを避けること」と「快楽を得ること」のどちらを重視するのかをまず自覚することです。
タイプ別やる気の出し方
僕は社会人1年目の新入社員研修で、やる気の出し方について学びました。
社外のコンサルの研修を受けたのですが、内容はぼんやりとしか覚えていません。確か、「仕事が終われば飲みに行けるとか、仕事がうまくいったら上司に褒められるとか、成功した時のことを想像してモチベーションを高めましょう」という内容だった気がします。
詳細を覚えていないのは、あまりピンと来なかったからです。そんなことで本当にやる気が出るのか、疑問に思ったからです。そして、その後の社会人生活で、そのやり方ではやる気が出ることはほとんどありませんでした。おそらく、僕には合わない方法だったのです。
この方法は、「仕事は面倒だけど、成し遂げればそれ以上の喜びがある」という、「苦痛<快楽」でやる気を出すというやり方です。快楽を得ることを重視するタイプの人は、この方法にハマると思います。
次に、苦痛回避を重視する人のやる気の出し方を解説します。僕はこっちのタイプです。
そういった人は、面倒な仕事を終わらせた後にご褒美があると言われても、なかなかやる気にならないものです。ではどうすればいいか?「この仕事をやらなければ、さらに面倒なことになる 」と考えるようにするのです。
「今この苦痛を乗り越えなければ、さらに痛い思いをすることになる」という、「毒を以て毒を制す」的な考え方でやる気を出す方法です。具体的には以下のように考えてやる気を出します。
要は、今やらないと割に合わない仕打ちを受けることを想像してみるようにするのです。
まずは自分が、快楽を得ることを重視するのか、苦痛回避を重視するのか、どちらのタイプかを考えて参考にしてください。
なおこの特性は、その日の体調やテンションによっても変わります。どちらを重視するかの傾向は変わりませんが、快楽を得ることに寄ったり、苦痛回避を重視することに寄ったり、ブレが出ます。
「あれ、今日は快楽重視の考え方だとやる気が出ないな」という場合は、苦痛回避重視の考え方に切り替えるとやる気がでるかもしれません。
「人の行動原理は、痛みを避けて快楽を得ること」「脳にコスパがいいと判断させれば行動に移すことができる」ーーこの2点を覚えておきましょう。
やる気の継続には「作業興奮」を活用する
これまでの解説は、「やる気の出し方」というより、「行動するきっかけのつくり方」と言う方が正しいかも知れません。面倒なことでも、脳に「コスパがいい」と判断させることで、行動するきっかけをつくることができるのです。
では、行動し始めたはいいが、どうやって行動を継続させるのか?について解説します。行動を継続させるために、「作業興奮」を活用しましょう。
人間は、一度行動を始めてしばらく経つと、行動すること自体が楽しくなってきて、ずっとやり続けることができるという特性があります。作業すること自体に興奮する、これが作業興奮です。
あまりピンと来ないかも知れませんが、具体例は以下のようなものがあります。
このような経験はありませんか?これが作業興奮です。
行動を始めるまでは面倒でなかなか動けないものですが、一度行動を始めてみれば意外となんとかなるのです。
やる気を出すための流れとしては、快楽を得ることか苦痛回避を想像して脳に「コスパがいい」と判断させることをきっかけにして行動を開始し、作業興奮でやる気を継続させる、というようなやり方です。
興奮してこない場合は迷わず休憩する
一度行動を開始すれば、作業興奮でやる気が出てきて継続できると述べましたが、作業興奮しない場合もあります。体が疲れていたりしてコンディションが悪いと、なかなかノッてこないものです。
10分程度作業してもやる気が出てこない(興奮してこない)場合は、迷わず休憩しましょう。
やる気を出すためには、まず行動する必要があります。この初動が、やる気を出す上での最も大きな足かせになると考えます。せっかく重い腰を上げて行動したのにノッてこない、そんな状態で自分自身にムリを強いてしまうと、脳からしたら軽いトラウマになり、「もう嫌だ!」となってしまいます。重い腰がさらに重くなるのです。そうならないためにも、 10分程度作業してもやる気が出てこず「あれ?おかしいな」と感じた場合は、一度中断して休憩するといいでしょう。
やる気を出すためのキモは、作業興奮なのですが、それが起こるかどうかはやってみないとわかりません(^^;) 人間は複雑ですから、その時間ごとに体調や気分などの微妙な変化があります。作業興奮が起こる場合もあるし、起こらない場合もあります。要は運ゲーです(笑)
なので、作業興奮が起こらない場合は「ああ、今はそういうタイミングなのね」と理解し、しばらく休憩しましょう。歩き回ったり、椅子に座って何もしないのもいいでしょう。
そしてしばらく時間が経って再度やり始める、というのを繰り返します。
すると、いつかは作業興奮が発生します。そうなればこっちのものです。この機を逃さず、仕事を一気に片づけてしまいましょう!
まとめ
今回の記事では、仕事などでやる気が出ないときにどうやってやる気を出すかを解説しました。
人間の行動原理は、「痛みを避けて快楽を得ること」です。それを踏まえ、まずは課題が解決できたときに得られる快楽、もしくは、課題の解決が遅れたときに感じる苦痛を想像してみましょう。
そうすることで、脳に「課題解決は面倒だけどコスパのいいこと」と認識させることができ、行動のきっかけをつくることができます。
一度行動に移すことができれば、作業興奮でやる気が出てきますので、あとはなんとかなります。自分を信じましょう。
ただし、その時のコンディション次第でノッてこない場合もあります。そういった時は、迷わず休憩しましょう。しばらく休憩した後、再開すればいいのです。
それを繰り返すことで、作業興奮が発生しますので、そのチャンスを逃さず、一気に仕事を片づけるようにしましょう。
手順としては以下のとおりです。
僕もこの記事を作業興奮で書きました(笑)
あなたのやる気が出ますように。
ではまた!
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